和紙織(紙布)の製造工程

人と機械の協働が生み出す布
大敵は湿度と風

和紙を糸として織り込んでいくのは絹糸と異なる苦労があります。
張力のない和紙糸と会話をしながらひと杼ひと杼ていねいに糸を調節していく着尺、2台の織機に1人がつく帯。
いずれも人と機械が協働して織り上げていきます。

和紙織の製品ができるまで

こよりづくりからスタート

紙布の原材料は根本山を源とした桐生川の綺麗な水で、故 星野増太郎氏のご家族が漉いた和紙です。
細かく割いて糸状にするため、かなりの負荷がかかります。
手漉きではこの負荷に耐えられないため、機械漉きの和紙を使用します。自然の恵みをとどめた優しい色合いに心が癒されます。
この和紙を細く切り、こよりにするところから始まります。
60cm×90cmの和紙を用途に合わせて2mmから8mm程度にに切っていきます。
こうしてできた1枚の紙を手でこよりにします。
こよりがたくさんできたら、こよりの端それぞれにはさみをいれ、たがいに差し込み、その部分を撚ると倍の長さの1本のこよりになります。
これを延々と続けると1本の長いこよりができ、これが糸となります。
根気のいる仕事なのです。

天候に左右される機

諸紙布は経糸も和紙ですが、和紙糸は絹糸と異なり張力がありません。したがって引っ張れば切れてしまいます。また、摩擦にも弱いものです。ですから、細心の注意を払って織っていきます。天候にも左右され、雨の日や風が強い日は晴れた日の半分くらい進みません。湿度や温度に影響されるのはわかっているのですが、まだまだ分からないことも多く、職人の勘や経験に左右されることも多いのです。

天候に左右される機

和紙織・紙布の帯 製品イメージ

和紙織のよさはなんといってもその軽さ。
着用していて楽なのはもちろんですが、帯は結びやすく、着物は着崩れしにくいのです。
また、身体に寄り添いながらも、さらりとした感覚は和紙織の特性です。
このさらりとした着心地が肌に気持ちのいいものですが、織をさらにゆったりとし、あまい織とすることで、より柔らかな反物もできるのです。

気軽に楽しめる諸紙布着物

着物はファッションです。
ですから、楽しく着用し、笑顔になっていただきたいと思います。
特に諸紙布は手軽に楽しめるアイテムです。

和紙織の着用期間は長い

着物はファッションですから、自由にお召しいただくのが一番です。ですが、着やすい季節があります。諸紙布の着物の場合、2㎜以下の細い糸で作ったものは夏向き、2㎜~5㎜の太い糸で織ったものは真夏意外の通年着用に向いています。通年にする場合は単衣仕立てがおすすめです。木綿やウールに近い感覚です。また、単衣仕立てにすることで、お手入れもとてもしやすくなります。ちょっとした汚れであれば、自宅でも処理ができるのです。ただし、絹紙布のお手入れは専門店にお任せ下さい。

和紙織の着用期間は長い
着物は笑顔のトランスポーター

着物は笑顔のトランスポーター

着物を着るとちょっと晴れがましく、思わずにっこりしてしまいます。私たちはお客様のこの笑顔を見るために機を織っています。一人でも多く方に笑顔になっていただきたい――。ほっこりとした柔らかさを織り込んだ和紙布は和紙の産地である桐生と日本一の蚕糸生産量を誇る群馬のコラボレーションです。桐生と群馬の技に温かみを添えて私たちの笑顔とともにお届けします。